コトノハ 〜この気持ち、何て言うの〜
チカの言葉を聞いて、
俺はチカを俺の腕から放した。
チカは泣きそうで、
それでいて赤い顔をしていた。
「『好き』…?
そっか。
『好き』、か…!」
『好き』の意味なんて知らないけど、
なんかしっくりくる。
「なぁチカ、
…『好き』だっ!」
チカの目から涙が一筋こぼれた。
「好きなんだ。」
「…レイスッ!」
いよいよ本格的に泣き出したチカは、
俺の胸に飛び込んできた。
チカの温かさが伝わる。
「伝わった…?
俺の気持ち。」
チカは無言で頭だけコクリと頷いた。
チカは泣いてるけど、
俺はそれを悲しくは思わない。
俺はちゃんと涙には二種類の意味があるって知ってるから――。