終わりの後に…
運命
カウンター越しに、何を話したかあまり記憶にない。
約10年ぶりの再会が、夢ではないのかとそればかり。
たくさん…たくさん…話したいことあるのに…
『ごめん、こいつかなり酔ってるからそろそろ帰るよ。』
……えっ!!
『あ、…はい…。
の、のぶくん、寝ちゃってるもんね…』10年の記憶が頭の中を駆けていた。
心の中では帰ってほしくない…
かと言って、なぜか営業でも
゛えっ!もう!?まだいてよぉ~゛
の、言葉すら出ない…
『じゃあ、また機会があったら来るよ。』
酔ったのぶくんを抱えるように、佑弥君が顔だけこちらでタクシーに乗り込む。『あ、ありがとうございました。…』
それ以上言葉が出ない…

笑顔が私の心を締め付ける。
突然の再会に、あっという間の時間…
タクシーを見送りながら、肘を強く握る自分がもどかしく、苛立ちさえ…

何故…
こんなにも再会にドキドキするなら、なぜもっと話をしなかったのだろう…
確かに、過去の関係について、どうこう話せなくても、営業にかこつけて連絡先を聞けたはず…
謝りたかった…
店に戻っても、頭の中は゛何で…゛゛何で…゛ばかり。
ドキドキが…
まだ、私…愛してる…?

『おい、どうした?何かあったか?暗い顔して…』
声をかけられて…
いけない!いけない!
もう過ぎたこと!
『さぁ~て、中村さん!何歌います?』…………………

ずっと頭から離れない再会の瞬間。

夢か現実か・・・その瞬間…
『携帯なってるよぉ~!』
……………………!?
    !!!
携帯握りしめたまま何メートルもジャンプしたいくらいだった。
『のぶからメルアド聞き出した…きれいになったな…』

壊れていたはずの時計が動き出した。
忘れかけていた・・・いや忘れようとしていた思いが…

「メール驚いた…あの…またメールしてもいい?」
自分でも
どうしようと思っているのかわからなかった。
でもそれきりにはしたくない。
なにかを期待してるのかも。
だって・・・
「いつでもメール待ってるよ」
って、返事だったんだもん。


信じられないくらい、今までにないくらいドキドキしてる。
そして冷静さをなくしてる…
次の日にメールをしてるんだもの。

「どうしても会って話がしたい。昔の話をしたい。佑弥君には迷惑かもしれないけど…」


苦しかった。
返事が来るまで。

「迷惑なら、メールしてないよ。俺も話したい。

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