死言数
頭が真っ白になる。なぜ、ここにあの時の男がいるのか。そもそもなぜ自分の住所を知っているのか。様々な事が頭を駆け巡るが、それは明菜をますます混乱させるだけだった。
「い、いや・・・。」
大きな声は、喉の奥が痛くて出せない。涙が出すぎたせいだ。
「ひ、ひ、ひっ・・・。」
鼻水もあふれ出てくる。体裁なんてどうでも良かった。ただ、今は助かりたい。それだけだ。しかし、その願いは誰にも届かない。
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