死言数
駅まで歩いて十分ほどだ。本当は少しでも寝ていたいから、自転車で駅まで行きたいのだが、先月盗まれてしまった。ついていない。
「あぁ、もう自転車返してよ。」
愚痴を言いながら、ハイヒールの音を響かせる。
「ん?」
なんだろう。視線を感じた。
振り向いてみたが、いつも見かけるサラリーマンがいるくらいで、特に変わったところはない。
「気のせいか・・・。」
一瞬でも、ドラマのような出会いを期待してしまった自分が悲しい。
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