死言数
「おはようございます。」
途中、後ろから声をかけられた。
明菜は必要以上に驚いた。
「ひっっ。」
「どうしたんですか?」
美保だった。
話せば少しは楽になるかも知れない。明菜はそう思い、美保に電車での出来事を話した。
「本当?」
「うん・・・。」
「でもさ、もしその相手が女だとしたら、女性専用車に乗ってくるんじゃない?わざわざ、隣の車両に乗る意味ないでしょ。もし、明菜の事を見ているなら。」
「うん。」
「で、男なら、どうあがいたって一緒の車両に乗れない訳だから・・・必ず、一番後ろの車両に乗れば大丈夫だって。」
美保に話して良かった。明菜は思った。
「そうだね。一番後ろに乗れば、そいつが一緒に乗る事はないんだもんね。ありがとう、話して良かったよ。」
明菜の表情からこわばりが取れ、やさしい顔つきになった。
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