死言数
宅配ボックスがあっても、代引きの荷物には意味がない。もっとも、明菜のアパートには、宅配ボックスなどないが。
ただ、時間帯指定はしてある。会社を定時に切り上げれば、ギリギリ間に合う時間帯を指定してある。いつも、定時に切り上げる明菜は、特に気にせず受け取れると思っていた。
なのにだ。今日に限って、残業を言い渡された。急いでやれば三十分で終わるだろうが、宅配便に間に合うのはかなりきつい。
「すいません。今日、用事があるので・・・。」
「用事?仕事より大事な用などあるものか。」
部長は明菜に言い放った。
高度成長期を見てきた世代なら、その言葉に素直に反応するかも知れないが、世は平成に変わっている。そんな世代の違いが、意見をぶつけさせる。
「とにかく用があるんです。」
「だから、仕事の方が大切だろうっ。」
時計の針は、刻一刻と進んでいく。明菜は焦りで胃が痛くなった。
これ以上、押し問答している時間はない。今は一分、一秒がおしいのだ。
「お先に失礼します。」
部長は、何かを言おうとしたが、そんなのを気にしている暇はない。ドアを思い切り開け、会社を後にした。
ただ、時間帯指定はしてある。会社を定時に切り上げれば、ギリギリ間に合う時間帯を指定してある。いつも、定時に切り上げる明菜は、特に気にせず受け取れると思っていた。
なのにだ。今日に限って、残業を言い渡された。急いでやれば三十分で終わるだろうが、宅配便に間に合うのはかなりきつい。
「すいません。今日、用事があるので・・・。」
「用事?仕事より大事な用などあるものか。」
部長は明菜に言い放った。
高度成長期を見てきた世代なら、その言葉に素直に反応するかも知れないが、世は平成に変わっている。そんな世代の違いが、意見をぶつけさせる。
「とにかく用があるんです。」
「だから、仕事の方が大切だろうっ。」
時計の針は、刻一刻と進んでいく。明菜は焦りで胃が痛くなった。
これ以上、押し問答している時間はない。今は一分、一秒がおしいのだ。
「お先に失礼します。」
部長は、何かを言おうとしたが、そんなのを気にしている暇はない。ドアを思い切り開け、会社を後にした。