死言数
相変わらずの生活
今日は六日だ。そして、土曜日だ。
せっかくの休日だと言うのに予定もない。暇を持て余していた。
「あぁ、暇だ。」
就職のために上京してきたから、東京に友達と呼べる者はいない。会社の人間とは、付かず離れずの関係にするのが、明菜のポリシーだ。だから、こんな寂しい休日を、いつも送っている。
空を見上げると、快晴だ。雲もなく、どこまでも、どこまでも青い空が拡がっている。こんな日には布団を干すに限る。さっそく明菜は準備を始めた。
「この布団、重いなぁ。」
華奢な体つきの明菜は、布団に埋もれるように抱え、それをベランダに運ぼうとした。おぼつかない足取りで一歩、また一歩と進んでいく。その時だ。
「痛っ。」
足に何かがぶつかった。その拍子に、何かがメチャクチャになったようだ。
しかし、まずは布団だ。この重い、大きな布団をどうにかしなければ確認のしようもない。
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