死言数
と言っても、明菜の家の目の前はコンビニだ。休みの日の食事は、たいていここで済ませる。いつもと同じメニューを手に持ち、部屋に戻ろうとした時だ。ポストから、あの封筒が飛び出しているのが見えた。
「また、入ってる!」
慌てて駆け寄った。誰かに福沢諭吉を奪われたら大変だ。
「待ってましたよぉ。」
三回目ともなると、感謝の言葉が浮かんでくる。普通に生活していたら、三万円と言うのはかなりの金額だ。それを見ず知らずの明菜に提供してくれるのだから、感謝のひとつも言わなければ罰が当たると言うものだ。
「封筒様、ありがとうございます。」
明菜は封筒に礼をしながら、そう言った。それを見ていた通行人が、不思議そうな顔をしながら明菜を見ている。それに気がついた明菜は、恥ずかしくなり慌てて部屋に戻った。
< 40 / 106 >

この作品をシェア

pagetop