死言数
最近、いい育毛剤を手に入れた。そのおかげなのか、部長の頭頂部に、新しい仲間達がチラホラと現れ始めていた。
<まさか、私の事なのか・・・?>
気が気でない。
「だいたい、あんなキモい奴、髪の毛生えたくらいじゃ結婚なんて出来ないって。あいつ、婚活バーに通っているらしいよ。」
「マジで?あり得ないでしょ。金の無駄だって。」
ハゲ、独身。この二つのキーワードがマッチする人物は、社内には一人しかない。つまり、自分の事だ。狼狽した。そのせいでバランスを崩し、太った体を女子社員の前に晒してしまった。
<しまった。>
きっと、女子社員達もばつが悪そうにするものだと思っていた。しかしだ。
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