死言数
「たった、これだけでいいのか?」
側にあったレポート用紙をテーブルの上に置いた。
「三行で六通の手紙だから・・・十八文字にすればいいんだな。」
大きく息を吐いた。独特の臭いが部屋一面に拡がる。しかし、自分の臭いは気がつけるものではなかった。
まず、真ん中にはじめの三文字を書いた。思いは決まっている。すべてを書いたらとても十八文字では収まらないが、相手を殺せるとわかっているなら、その思いを要約する事も出来る。
“おまえ”
そう縦に書いた。その左に五文字、その右に七文字、適当な文章になるように書いた。一行が合計で十三文字にしたのは、自分なりの脚色だ。よりいっそう呪いが実行される感じがする。
「ふふ・・・。」
思わず笑いがこぼれた。
ただ、その笑いはすぐに途絶えた。
「どうやって五通目まで受け取らせるか・・・?」
しばらく考えた。それから、単純だが効果的な方法を思いついた。金だ。
以前、尾行した時だ。とても女が住むとは思えないような貧相な住まい。きっと金に困っているに違いない。だとすれば、これほど効果的な方法もない。
手紙と一緒に一万円を入れた。財布の中に入っている中で、特に縒れたものを選び封筒に入れた。
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