死言数
毎日がとても長く感じた。“六がつく日”は月にそんなにない。そして、手紙を五通も渡さなければいけないのだ。次の“六がつく日”はいつかと、指折り数えて待っていた。一通、また一通と手紙は渡される。その度に妙な快感を覚えた。
「ふふ・・・。」
手紙を置いてきた後は、必ずこんな風に笑った。行き交う人の何人かは、振り返りこちらの方を見たが気にしない。もうすぐ叶うのだ。願いが叶うのであれば、そんな事は何でもない。
そして、五通目まで届け終わった。
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