雨上がりの月夜に
こういう店で働いているからだろうか。

あまり人目につきたくない、そんな感じでその子は店内に消えていった。

店がオープンの時間になり、次々と客達が店内に吸い込まれて行く。

私が店内に入る番になった。

入り口で料金を支払う。

「当店のご利用は初めてですか?」

ボーイに聞かれ、私は頷いた。

「両手の平を広げて上に向けて下さい。」

言われたとおりにすると、ボーイが私の爪先を触りながらチェックした。

「爪を切りましょう。こちらへ来て下さい。」

ボーイについていき、カウンターの中へ。

ゴミ箱の上で丁寧に爪を切ってもらう。
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