雨上がりの月夜に

彼女と会った帰り道、夜の街は肌寒く、自分の気持ちも伝えられないままの心にそれは西風の様に吹き込んで来た。

駅へと向かう道すがら、正面から女性がやって来る。

普段ならそのまますれ違うだけなのだが、その女性は私の眼前に立ちはだかった。

酔ってるな。

20代前半のその女性は少し頬が赤らんでいるのも手伝ってか、可愛いらしく見えた。

もじもじしながらその女性は恐る恐る私に話しかけて来た。

「あのぉ～、今から時間って空いてますかぁ？」

「あ～、なんだろ？帰るだけだから時間はあるけど。」

「なら、ちょっとつきあってよ。」

はぁ、これっていわゆる逆ナンってヤツかな？