雨上がりの月夜に
きっかけ
20歳の冬、妹から紹介されたバイト先で営業を一人募集しているので面接してみないか、というのがそもそものきっかけだった。


天然パーマが纏まらないので短髪、メガネ、成人式の時に購入した濃いクリーム色のスーツで面接した。


180センチ近い身体の割には肩幅があるので、ジャケットは大きめだ。


バイトをしていた事と妹が勤務していた事もあり、面接は数分で終わった。

最後に小柄で少し髪の薄くなったメガネの面接官が


「うちの会社に専門学校卒業生は入社した事ないんだよね。給料、計算しないとね。」


サラリーマンになるつもりのなかった私だったが、どうやら合格のようだ。


卒業も真近だというのに一社も面接に行ってなかったので、少しばかり安心した。



しかし、土台、性格からして人付き合いの苦手な自分が営業マンなんてむいている訳がない。



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