雨上がりの月夜に
家に帰ると相変わらず父親が嫁を早く連れて来いと口五月蝿い。

私も結婚して早く子供が欲しいとは思うのだが、いかんせん恋愛下手でなかなか上手くいった試しがない。

小さい時から引っ込み思案で、みんなが野球をしていても祖母の後ろからただおそるおそる覗きこんでいるだけだった。

見かねた祖母が仲間に入れてやってと言ってくれて、やっと仲間に入って行く、そんなことが多々ある子供だった。

せめてこの祖母に曾孫を見せてやれたらとは思うのだが、なかなか出会いというものとは縁遠い存在の様だ。

出向した会社も男ばかりで全く色気がない。
< 40 / 45 >

この作品をシェア

pagetop