雨上がりの月夜に
面接は合格したが、卒業は出来ない。


『なんと会社に言えばいいのだろう?』

私はこのようなバツの悪い状況になった事が一度もなかった。


しかし、会社に報告しない訳にはいかない。


意を決して公衆電話にテレフォンカードを挿入し、ダイヤルプッシュした。


「すみません。先日面接を受けた外岡ですが…。」


「ああ、卒業できたかどうかの報告ね?どうだった?」


「すみません。卒業できませんでした。なんとか高卒扱いでお願い出来ないでしょうか?」


後でこの対応を母に叱られた。


「そういう時は御社にお任せします。って言うものだよ。」

全く世間知らずで今、思い出しても恥ずかしい若さゆえの過ちであった。
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