運命
Ⅰ
オサナナジミ
東京には勝らずとも、十分な大都市を誇る大阪の街。
そんな大阪の小さな病院で生まれたあたし・
大嶋月琉《オオシマカナル》は今、小学4年生。
「月琉ーっそろそろ起きやーっ」
毎朝、目覚まし時計よりうるさいお母さんの声で目を覚ます。
「ん~~っ…」
目をこすりながらあたしはベッドから降り、リビングに向かった。
「おはよっ」
バタバタと仕事に行く用意をしながらも、あたしに声をかけるお母さん。
「ぉはよ…」
小さな声でそう呟き、いつもの席に座った。
「………」
無言であたしの隣りに座ったのは、妹の遥《ハルカ》。
まだ頭が覚めきれていないらしく、ボーッと一点を見つめている。
あたしはそんな遥に声をかけることもなく、用意された朝ご飯に手をつけた。
あたしの家族は、お母さん・遥・あたしの3人。
お父さんは…
あたしが小さい頃に離婚して、今ではもう顔も覚えてない。
3人でも別に不自由はしていないし、十分幸せだとあたしは思っている。