運命
と、その時
「おっす陸!!」
教室の後ろの方でクラスの男子が言った名前に反応して、振り向いた。
そこには、あたしの幼なじみであり、好きな人でもある…
香川陸《カガワリク》がいた。
「陸~また遅刻かよっ」
陸と仲のいい男子が、冗談半分に陸に言った。
「別にええやんっ」
ニッと笑いながらそう答える陸。
その、笑顔が好き。
その、仕草が好き。
陸の…
何もかもが好き。
あたしは毎日、陸の姿を見てドキドキしっぱなしだった。
「月琉~また香川陸のこと見とったやろ~」
ニヤニヤしながら陽菜があたしに言う。
見っ見てないし!!!
…って言いたいけど実際ガン見しちゃってたしね。
「もういいやんかぁっ」
あたしは陽菜の肩を軽く叩いてそう言った。
えりちゃんは隣りでクスクス笑ってる。
こんな何気ない毎日を、あたし達は過ごしてる。
休み時間にはえりちゃんや陽菜と語りあって、時にはケンカもして…
そんで、陸と話せたりした日はたまらなく嬉しかったりするんだ。