今も恋する…記憶

『でも、何でこんな所まで私を連れて来たん!
わからへん人やわ』


店内の明かりも薄暗くて、床にも油が染み、

その独特な匂いは食欲を覚えるようなものではない。

しかし、何故かその店は有名らしい。


新開地のこの場所に衆楽館という、演芸や映画館などの娯楽施設があったのだが

喫茶店は、その頃から在るらしい。


名物はフル-ツサンドイッチだ。


さくらがそれを食べて、菊池はカツライスを食べた。

いまだにその味を覚えている。


その帰り道、二人でまた電車に乗り三宮駅で降りた…

菊池がさくらを自宅まで送ると言い出して、
ついてきたのだ。




< 12 / 42 >

この作品をシェア

pagetop