今も恋する…記憶
『もしもし…
私、藤家と申しますが、あの…』
言い終わらぬうちに、電話の向こうから、声がした。
-もしもし、さくらちゃん〃
僕菊池です。
電話をくれてありがとうー
その菊池の声に胸が破裂しそうだ。
『あかん!
やっぱり…
うちの負けやわ〃』
さくらは自分にも菊池にも負けてしもたん!
それで、とうとう、菊池と会う約束をしてしまった。
さくらは急いで着替えた。シフォンの淡いブルーのワンピースに…
菊池と会う約束をした場所は、さくらの泊まっているホテルの斜め向かいだ。
さくらは、そのホテルの正面の入口からは、入らなかった。
その横にある最上階への専用の入口から入った。
エレベーターに乗り、菊池の待つ最上階にあるラウンジへと向った。
その店内は、深紅の絨毯が敷かれ、シャンデリアが美しく輝いている。
さくらはその絨毯を踏み締め菊池の待つソファへと、ゆっくりと歩いた。
そこには、菊池がいるはずだ。
…ついに菊池の前に立った。