今も恋する…記憶
理由「わけ」
あの時から、40年も過ぎてるん…

風が、囁く
ように聞こえても
しかたないこと。

それに、さくらは60歳にもなっていたし


『もう、
後戻りは出来ひんし…』

還暦にもなって、
今さらどうするのん…

なんて
思われてもかまわへん…
それに…
明日にも命が尽きるかも知れないのになあ!


『そやけど…うちは灰になるまでなあ、

諦めることが出来ない
恐ろしく執念深い女…』

自分でもよくわかっているのだ。


そやけど
こうなったんも…

あの時、
あの人が、あんなことを言ったからや…


彼が突然の転勤で札幌へ行くことになり…


別れると言われて、
さくらが号泣したら!


「そんなに泣かんといて…
泣くんやったら、
僕のこと待っていてくれる
何年かかるかわからへんけど、女房とは別れるから」

そう言われても、嘘や…都合のええ、別れ口上、
これが2度目の別れ…
菊池とは不倫でした。

つまり、最初の別れから10年後に再会-


その時から、菊池とは
そういう関係に、なっていたんです…


そやけど二人の間に
愛があるとは、とても
思われへんかった。


その後…最初の別れを
さくらから言い出した!

わけは、恋愛の対象として認めてくれへん菊池に
業を煮やしたというところやろか…

それに
菊池にとっては、さくらは青くて物足りない女…

そうかといって、熟すのも待てないという、

男の
都合のいい、ええかげんさに、負けてしまったん!

でも、諦めたわけでは
なかったん。

その後、ず-と
胸の奥に埋めてたん-




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