今も恋する…記憶
密会
菊池は部屋に入るなり、いきなりさくらを 両腕で抱き締めた。
さくらは夢中で菊池の 胸にしがみついていた。
『この人の匂いや、
覚えてるわ。
ず-と昔に、抱き締め られた時と同じ…』
『あの時は、別れの 始まりやったけど、
今は違う、 会えたんやから…』
-さくら、大人になってる…
あの日から、比べたら ものすごい、大人や。
それに、きれいや〃 びっくりしてしもた。
見違えて、しもたわ-
菊池がさくらの顔を両手で挟み、キスをした。
『うちは、女になったん!
大人の女になれたん!昔のさくらと違うん〃』
つぎには、菊池の手が さくらの背中のファスナ- を下げていた。
そして、自分の衣服をもどかしく脱ぎ捨てた菊池は、
さくらと抱き合ったまま、ベッドへなだれ込んだ。
菊池の全てを知りたいという、さくらの願いは、もうすぐ叶うのだ。
『うちは、この人に負けてしもたん!
とうとう、夢から 覚めてしもたん!』
夢でしか会えへんかった人 やのに、本当に会ってる。
ほんまに抱かれてる。
-さくら、これから全てが始まるんや。 これからなんだよ!-
菊池が、さくらの耳元にささやいていた。