今も恋する…記憶
『うちは、恐ろしい女かも しれへん〃
何や、いつも呪いにも
似た執念を燃やしてたわ
恋しい人に愛されたい。
それだけは、
記憶の中から、
どうしても…消えへん〃
結婚しても…変わらへんかったん!』
その理由は…
さくらの夫には、いつも愛人がいたからだ。
この頃の夫は殆ど日本にいるようでしたが、
自宅には週末の二日しか帰宅しないのです。
だから…
さくらには夫のことは、よくわかりません…
それに…
帰宅しても、さくらとは会話はありません。
夫との間は冷えきっていましたから…
外国にいて、離れていた時も同じ…
さくらへの愛は、最初から 無かったのでしょう…
それに、夫には愛人がいて、
それも外国人だったから…
夫に離婚する必要も無いと、思われていたん。
そんな夫とは、
夫婦としての愛を育てていくのは、とても無理…
そんな夫が久し振りに帰宅していた時のこと…
居間のソファ-に義母の高子と並んで座り、何やら楽しそうに話をしていた。
子供の孝一郎も久し振りに父親に会えて、
いつもより 楽しそうにしている。
それを見たさくらは思った。
『こんなにも、
姑や息子が、嬉しくて、楽しいのなら
私はこのような日のために、しばらくは
我慢しましょう…』と、
そんな日の夕食は 、
ことさら豪華なごちそうを作り、
テ-ブルの上を飾った-
でも、良く見ると…
「美味しい、美味しいね-」と、言いながら
食べているのは、二人だけだ…
姑の高子と息子の孝一郎だけのよう…
夫にとっては、さくらの料理は口に合わないのだ…
それもしかたがないことだ。
外国人である愛人の料理の味に慣れているからだろう…
『うちには、ようわからへん…
あなたが、どこで…
どんなものを、
食べてるのか、しられへん…』