今も恋する…記憶
さくらが菊池に年賀の欠礼のハガキを出して…
10日もたたないうちに、菊池からのハガキが届いていた…
『元気にしております。 小生も、とうとう、
やもめになり、一人侘しく暮らしております。
時々はお便りください。待っていますから!』
菊池からのハガキも年賀の欠礼状だった…
それを手にしたさくらは感無量だ…
『やっと、会えるかも しれへん〃
そやけど、複雑やわ。手放しで喜ぶというのも
何や、不謹慎な… 気がするねん!』
だがさくらが、そう思ったのは 瞬間だけだ…
早速、机に向かって座り 菊池に手紙を書いていた。
『前略
思いがけなく、お便りを頂いて嬉しく思います…
でも、そんなふうに申しあげたら、
誠に不謹慎な ことかもしれませんが…
どうかお許しください。
あなたが、お元気にしておられることを知り、私は喜んでおります。
お別れしてから、ずいぶん と長い年月が流れてしまい ましたね。
今の私は髪も白くなり 世の老人とやらの仲間に入ろうとしておりますが…
心は若い時のさくらのままでございます。
あなたも、ずいぶんお変わりになられましたでしょう…
でも、私にとっては
若い時の、そのままのあなたですわ…
私は、そんなあなたと、幾度夢の中で-
お会いしたかしれません
数えることができない位…
ごめんなさい。
勝手なこと言ってますね私少し変でしょう…
でも、怖がらせないでください。
でも、ほんとうなんですよ。
これからは、いつか- お会い出来る日が来るかも しれないと…
期待して〃
今宵はこれで…筆をおきます。
かしこ
菊池さまへ
さくらより-