今も恋する…記憶
さくらは菊池と会話をしていたが…
『これ、少し変やわ… うち、夢を
見てるんやわ〃』
それに、先程男女の学生が、この橋を渡って行ったが…
その後、二人はこちらには 戻って来なかった…
橋の側を良く見ると、手前には…
「この橋行き止まり〃」
そう書かれた立て札が
立てられていた。
それに、橋はいつの間にか切り子模様で飾られていたのである。
そして、どこからともなく 歌が聞こえてきた…
-三途の川の渡り橋、
切り子模様も美しく、
河原の石も変化して、 水晶、メノウに輝いて、
通りゃんせ、通りゃんせこの橋を通りゃんせ〃
行きは、よいよい〃
帰りゃ-せぬ〃
帰れ-えなあ-い〃-
こんな歌が聞こえている…
ますます、さくらは- これは、きっと夢なのだ〃
そう、自分は夢を見ている のだと…
すると、遠くの方で声がして、さくらを呼んだ…
さくらは、後ろを振り返った〃…
「母さん〃
母さん僕だよ〃」
その声は息子の孝一郎だ。
さくらの視界は、ただ…ぼんやり見えるだけ〃
その上、身体がすごく重たい。目も痛くて〃
長く開けてはいられない…