ブスは恋して良いですか?
・。・。柚子の話・。・。



木村さん、かわいそうだな。


でも、助けてあげられない。


ここではなるべく、目立ちたくないんだ。



そんな事を思いながら、私はみんなより早く教室を出た。



どこだっけかなぁ・・・。



慣れない下駄箱で自分の出席番号を探していた。


「すみません。」


二段目に自分の出席番号を見つけると、後ろから声をかけられた。



振り返ると、



「あの、僕隣のクラスの、町田と言います。もし良かったら、友達になってくれませんか?」



町田と名乗った男の子は、太陽に弱そうな白い肌を赤らめて聞いてきた。


それにしても、今どきの高校生の口調っぽくない。


下駄箱の陰に隠れていた彼の友達らしき男の子二人が、廊下に貼り付けられた大きな鏡越しに映って見えた。


私は考える必要もなく、頭を下げた。



「ごめんなさい。」



その男の子は更に恥ずかしそうに顔を真っ赤にし、少し俯いた。



その後ろから、さっきまでクラスでからかわれていた木村さんが歩いてきた。



私は木村さんと一瞬目が合って、急いで靴に履き替えて昇降口を後にした。



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