とある少女の猶予期間




本当は、逃げることだってできるのだ。
しかし私は、逃げる方法を知らない。
あの日から、私の心は一歩も進めていないのだから。
幸せだったから、大好きだったから。
「さようなら」は言わないよ。
玄関を出るとき、私は振り返らなかった。
またね、またね、またね。
もう会えないかも知れないけれど、またねって、言っておくよ。
ごめんね、上手く笑えてたかな。
ありがとう、歪んだ私の世界。




< 11 / 12 >

この作品をシェア

pagetop