黒い夢
そう伝えたかったのに、その前にオレは死んだ。


「思い出しましたかぁ?」

いきなりミミが現れた。

「さ、伝えたいことを、どうぞ・・・」

そう言ったミミの笑顔はやわらかくて・・・やっぱ見習いでも天使なんだな、って思った。


「トオル、オレは・・・さやとトオルが大好きだ。・・・だから、幸せになってほしい・・・」

「ゆ・・いち」

気付くと、トオルまで泣いていた。

オレは、そんなトオルに苦笑しながら言った。

「ふ・・なに泣いてんだよ。ホントは死ぬ前に伝えたかったんだ・・・遅くなってゴメンな・・・」


オレはトオルの頭をコツンと小突いて、さやの頭をそっと撫でた。

「勇一だ・・・」

さやはオレが触れたことに気付いたらしく、にっこり笑っていた。



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