ずっと...
微妙な距離

分からない。

この先生何考えてるの?

あたしは患者だし、

押し倒されてる意味が分からない。

「ちょっと!!あんた先生でしょ!?」

なによ。

先生はあたしを睨みながら

舌打ちをしてあたしのベットから降りた。

「おい、何勘違いしんだ?俺は君から携帯を預かろうと…」

何が勘違いよ。

しかも何?

さっきと態度、全然違うし…。

「もう、出てってよ!!あんたなんて、ただのセクハラじゃん!!」

こんな男に落とされてたまるもんですかってーの!!



先生はまだ何かを言いたそうにしてたけど

タイミングよく拓真がお見舞いに来たから

そそくさ病室から出て行った。

「おい、なんかあったのかよ。」

すごい心配そうな顔をしてる拓真。

それに答えなきゃいけないのに、さっきのことを話したくない。

話してしまったら、

もっと心配されちゃうから。

「ううん、なんでもない。ただあの先生がウザかったから、怒鳴っちゃっただけだから、心配しないで?」


拓真が本当かって感じの目であたしを見る。

「何?…疑ってんの~!?」

また信じてもらえないの?

親になにかと信じてもらえないあたし。

今度は拓真も信じてくれないの?

「…いや!疑うわけねぇじゃん?」

今の微妙にしらけた感じはなんだったの?

もしかして嘘ついてることばれてるのかな。

そうだとしたら、拓真を傷つけてるよね?



いつから...。



あたしは嘘を、つくようになったんだろう。


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