きゃっちぼーる
 振り返ると、倉庫の入り口に恵が居た。 

 一哉の気配を追って来たのだろう。

 恵は口を開けて立ち尽くしたまま、鏡と少年たちを交互に見て、最後、一哉に視線を向けた。

 一哉は歯を噛み鳴らす恵から顔を背け、鏡に近づいた。

 一哉は答えず、鏡を見た。

 鏡は、はだけた胸も隠さず天井を見つめたまま動かない。

 一哉は唇を噛み締め、鏡のかたわらにひざまずいた。





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