きゃっちぼーる
 一哉は屋上のドアに向かって、手を伸ばした。

 触ってもいないのに銀色のドアノブが回り、カチャリと鍵が開く音が鳴った。

 一哉がドアに近づくと、自然とドアが開いた。

「どういう仕掛け?」
 
 屋上に出て行く一哉の後ろを着いていきながら、恵が一オクターブ上の声で言った。
 

 触れてもいないのに鍵が開き、ドアが開いたことが信じられないのだろう。







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