お姫様の作り方
あのこと・・・・?

二人の会話は、あたしには全然通じない、けれどひとつだけ分かることがある。


―あたしが関係している。


「落ち着いて聞きなさい、取り乱したら一発殴るから」


そういってフリアはどこからかハリセンを取り出す。


―絶対取り乱したら殴られる!


あたしは身構えてフリアの話を聞く。


「いい、あなたは・・・・少し・・・いえ、しばらくの間、元の世界に戻れないの」


「はあぁぁぁー!」


あたしは取り乱すなと言われたことも忘れ大声を張り上げた。

もちろん宣言通りフリアがハリセンで一発殴る。

ハリセンはスパンといい音を立てる。

地味に痛かった。


「つづきを聞きなさい!
いい、戻るには、婚約者を選んでその人と一緒に王位継承の儀式をしないといけないの。そうしない限り二度と元の世界に戻れない。
ちなみに婚約者候補は何人もいて、ゼンもそのうちの一人。
慎重に選びなさいよ・・・・」


フリアは、まだまだしゃべり続ける。

けれど、あたしは途中から聞いてはいない。

婚約者って何!

王位継承!する気無い!

二度と元の世界に戻れない!!

戻って見せようじゃないの!


思い立ったらすぐ行動!

あたしは、すぐさま部屋を出て走り出す。


―帰らしてくれないなら自力で帰るのみ!!


ここが夢の世界だということも忘れ

行くあても無くあたしは、長い廊下を駆ける。












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