お姫様の作り方
楽しい時間は、早く過ぎ去っていく。

あたしがちらりと時計を見ると

気がつくともう八時を回っていた。

ゼンが迎えに来るのは確か九時

もう一時間を切っている。


「どうしようもう一時間を切っちゃった!」


あたしがあわててそう叫び、立ち上がるとマリーも気づいたようで

どうしたんですか?と聞いてくる。


「ゼンと城下町に行く約束なのに服着替えてないよ!」


そういうとマリーはあたしの服装をチェックし


「これでは駄目ですね。一発で姫様だとばれます。」


やはり日本の制服だとまずいようだ。


「それでは、着替えましょうか」


マリーは手を一回パンと叩きそういった。


あたしがボーゼンと立ち尽くしているとクローゼットの中をあさりだす。

そして一枚の服を取り出す。


「なに、この服、まるで英国貴族のような服じゃない!」


それがあたしの感想だった。


そうマリーが手にしていたのは、まるで貴族の着るようなドレスだったのである。


「ですが、町に行きますとこのお姿が普通ですよ。」


そういわれると少し困る。


「わ、わかったわよ。」


あたしはついに折れた。


さすがに制服姿でいったら目立つだろうし、明らかにおかしな目で見られるだろう。
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