お姫様の作り方
少し本棚を探っていると童話や御伽噺の本を見つけた。

小さいころ、お母さんに無理やり読み聞かせされてたのを思い出した。


―こっちのも話は一緒なのだろうか?


ふっとそう思い少しだけ読んでみることにした。

開いたページにはシンデレラの物語が書いてある。


継母や義姉達にパシられてるシンデレラが非現実的なことに魔女に魔法をかけてもらって王子様のところに行き、なぜか結婚できる。


こちらの物語も一緒のようだ。


姫香がシンデレラを見ているといつの間にか隣に来たフリアが


「以外!あなたがその物語が好きなんて!」


といってきた。

あたしは、童話や御伽噺などは大体嫌いなので


「嫌いだよ!かぼちゃの馬車なんてパンクしちゃえばいいのに」


といった。

すると今度はフリアが


「じゃあ、ラプンツェルならどうなのよ、素敵な物語じゃない!」


といってきたので


「嫌い!だって馬鹿じゃないの、髪の毛はしごにするなんて、しかも子供と食い物交換なんてありえない!第一盲目になった目が見えるようになるわけないじゃない!」


と本音を言う。

フリアは相当童話などが好きなようで


「だったら、白雪姫は、眠れる森の美女は、美女と野獣は、ヘンデルとグレーテルは!」


どんどん、作品をあげていく。

その中にひとつだけ引っかかるものがあった。


ヘンデルとグレーテル


この物語は嫌いじゃない、ヘンデルとグレーテルが魔女を倒すのがいい

そこら辺の物語とは違い、魔女が倒される、そしてファンタジー要素が少ない!


「ヘンデルとグレーテルは、嫌いじゃない、あと不思議の国のアリスも」


そうアリスも嫌いじゃない、だってどんなにファンタジーでも夢の話なんだから。

現実じゃないて事がいい

そう、今のあたしはアリスと一緒

いづれあたしもこの夢から覚めるんだ。

ちらっとフリアのほうを見るとなんだかうれしそうにしていた。

きっとさつきの言葉がうれしかったんだろう。

―フリアの子供らしい表情を初めて見た、いつもあれならかわいいのにな



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