いちえ
prologue



あの時、あなたは何て言ったの?



生暖かい風が頬を撫でていく。

言葉は風に流されて、もう耳にする事はない。




あの風はどこに行くの?



もう、私の頬を優しく撫でてはくれないのだろうか。


もう、出逢う事がないのかと思うと、胸が切なくなる。




陽炎が鳴いている。



いつもより大きな夕日が眩しくて、あなたが見えない。




どうしてそんな風に、私に笑いかけるの?





違う風が、私の頬を撫でて髪をさらった。
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