いちえ



「おい龍雅、乾かせよ」


「へ〜い」



そんな事を言う宗太もしっとりとしていて、宗太の言葉に龍雅を見てみると、確かに龍雅もしっとりと雨に濡れている。


相当な雨が降っている事が安易に想像できる雨音は、このまま雨が降り続ける事を思わせる。



「男くせえ……」



ポツリと言った慶兄は、うんざりしたように三人を眺めている。


確かにね。図体と態度のでかい男三人がこう居ると、男臭くて仕方がない。



宗太が龍雅に向けてタオルを投げると、すんなりと受け取った龍雅は頭をガシガシと拭きだした。


瑠衣斗も宗太から受け取ったタオルで少し長い髪にタオルを当て、私の近くまで来て腰を下ろした。



濡れてしまったせいか、瑠衣斗の香りが濃く香る。


濡れてしまった髪は色が濃く、何だか色っぽく見えた。


「雨ひどい?」


「んあ?ああ、やべー」



ガシガシと髪を拭きだした瑠衣斗に声を掛けると、やっぱり何だか疲れたような声音で返事を返してきた。



いつの間にかじゃれ合っている龍雅と宗太が、ギャアギャア言いながらお互いの髪をタオルでグシャグシャにし合っている。


そんな様子をほのぼのとした様子で眺める慶兄は、本当に楽しそうにも見える。



「……疲れてる?」


「え?いや」



私の言葉に、瑠衣斗は何の気もなさそうに答えるが、やっぱり表情は疲れているように見える。


最近ずっと一緒に居る訳でもないので、瑠衣斗が何をしているかも詳しくは知らない。


ずっと一緒に過ごし、行動も常に一緒に過ごしてきたのに、今では一緒に居る事すら少ない気がする。


そう思うと、何だか寂しい気もするし、それだけ一緒に居た事にも驚く。



どんよりと曇った気持ちを抑えながら、瑠衣斗から目を逸らした。


床に広がる柔らかい毛足の長い絨毯に指を通すと、サラサラとした手触りが心地良い。



何となく何も言えず、絨毯を撫でた。
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