いちえ
予想外の人物により、予想外な場所で足止めをくらってしまった。
「んで?何か用かよ」
一見冷たそうな瑠衣斗のセリフだが、本当にどうでもいい人には声すら掛けないだろう。
あれから何故か、ジュリから瑠衣斗にアタックをするようになり、今では普通?に二人でお茶までする仲だ。
更には他のメンバーとも交流を深め、こうして奇妙な関係からジュリは友達?へと昇格した。
「え?別に?みんなの姿が見えたから走ってきた」
「……帰れ」
「ひっどー。るぅが帰れ」
仲が良いのか悪いのか、よく分からない会話を聞きながら、私はこれからの予定で頭がいっぱいだ。
「ジュリは夏休みどっか行くのか〜?」
「ん?僕?とにかく遊び回る予定だよ」
龍雅の言葉に、ニコニコと返すジュリは、やっぱりモデルのように花がある。
なのにこんな風に飾らない所が、嫌味じゃなくてみんなにも受け入れられているんだろう。
「フランスへ帰れ」
「喋れないもんね!!僕死んじゃうよ!!」
瑠衣斗の言葉に、何故か堂々と答えたジュリが間抜けに見えない。
何も可笑しな事を言っていないようにも思えるが、堂々と言う事ではないとは理解できた。
「どーでもいいけどよぉ〜、早く行かねーか?」
宗太の言葉に、ようやくジュリが口を止めた。
本当に、ジュリも龍雅と揃って口から生まれたように思えてならない。
「今日も宗ちゃんち?行こう!!さあ行こう!!れっつごう!!」
「はあ……くんのかよぉ〜…」
げんなりとする瑠衣斗をよそに、ニコニコとジュリが先陣を切って歩き出した。
今日もまたみんなでゲームだな。
みんながギャアギャアと騒ぎながらゲームをする光景が、脳裏に蘇るようだ。
私も一緒に行きたい。
でも行けないんだ。
そう思うと、何だか気持ちが別の意味で沈むようだった。