いちえ



「まーそんな怒んなって」


「はあ?てゆーかその態度が気に入らないの!!」


「何だよ、じゃあどーゆう態度ならいんだよ!!」


「もっと紳士になれないの?ホンっトにムカつく!!」


「へーへーすいませんねえ」


「ムカつくー!!!!」



誰か!!だれかるぅを!!!!



「お〜い。じゃれんな〜」



のんびりした宗太のセリフに、勢い良く振り返った。


『じゃれてないっ!!』





綺麗に瑠衣斗とハモり、パッと瑠衣斗に向き直った。


不機嫌そうに眉間に皺を寄せているが、きっと私も負けないくらい眉間に皺を寄せているだろう。


「真似すんな」


「は?こっちのセリフだし」



「だーから、じゃれんなって」




絶対に楽しんでいるであろう宗太のセリフに、口をグッと噤んだ。


もう何も言わずに、目で訴えた方が早いと思ったらからだ。


それに、またセリフが被る気がしたから。



「だからじゃれてねえ!!」


「分かった。ムキになるな俺に絡むな以上」



予想した通りの瑠衣斗のセリフに、一気にまくし立てるように言う宗太が笑えた。


思わず小さく笑いを漏らすと、本当にバカバカしく思える。



小学生のようなやり取りに、ムキになってしまった自分が可笑しい。




「…ガキみてーだな」


「るぅがね?」



少しだけ、普通に会話?ができた事にホッとしている自分がいた。


何だかんだ、話を別の方へ逸らしてくれた瑠衣斗に、心がポカポカとするようだった。



「2人ともな」



確かにね。



宗太の優しい声に、私の顔から笑いが漏れた。
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