いちえ



こんな瑠衣斗も、なかなか珍しい。


ひょっとして、慰めようとしてくれてる?のかな?



「とりあえず今日送ってく」


「あ…うん、ありがと」



……え?それ…だけ??



よく分からないけど、それ以上深く突っ込めなかった。


「なあ、腹減った」


「はっ?まだ晩飯には早くね?うあーっ!!!!負けた〜〜っ!!!!」

「おーし!!でかしたぞるぅ」




未だにゲームをしている龍雅と宗太に、瑠衣斗が声を掛けた。



突拍子もない発言に、龍雅が反応したが、そのおかげで宗太にゲームを負けてしまったらしい。



泣いてしまった事は、龍雅にも宗太にもバレているに違いない。


でも、あえて触れない所を見ると、きっと気付かないフリをしてくれているんだろう。



本当に、私はいつの間にか相当な泣き虫になってしまったらしい。


歳をとると涙腺が弱くなるって言うけど、本当なのかも?




「ちくしょー!!!!おいるぅのせいだぞ!!!!」


「俺?関係なくね?」


「大人しく自分の負けを認めろよ」



そんなやり取りを繰り返す三人を見ながらも、まだ切なく胸が疼く。


そんな中、慶兄に合い鍵を返していない事に気付き、ハッとした。



そうだった。何だか急な事だったから、すっかり忘れていた。


次に会う時にでも、大丈夫かな……?
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