いちえ
嫉妬
「うーん、まあまあだな!!」
「…黙れちんちくりん」
出来上がった料理をテーブルに並べ、みんなで食事を始めた。
一番に料理に口を付けた龍雅が、偉そうに言った言葉に対して瑠衣斗が言葉を返す。
瑠衣斗が作る料理は、本当に何でも美味しい。
それに対して私は、比べる事すら失礼かもしれない。
龍雅が言うように。
でも、龍雅に言われると本気でムカつく。
「それ…作ったの私」
「……えっ」
少し間をおいて言った龍雅に対して、宗太が笑い出した。
そんな様子を眺めながら、虚しさが胸を覆う。
あれから、瑠衣斗に話し掛けられても、まともな会話すらできていなかったと思う。
黒に近い、灰色の重い雲がたれ込むように、私の胸をモヤモヤさせた。
そんな気持ちをどうする事もできず、ただ曖昧に相打ちする事しかできなかったのだ。
「いいもん。食べないでっ」
「んな怒んなよぉ!!うめぇって!!!!」
「…最悪っ!!嘘つき!!ちんちくりん!!」
「ち…ちんちくりん……」
やたらイライラして、感情が抑えられない。
些細ないつものような会話すら、今の私には笑える余裕がなかった。
ずっしりと沈んでしまった気分を、浮上させる事もできない。
分かっているのに、どうしようもできなかった。