いちえ
「……おい?もも太郎?」
「……へ…あ、あぁ」
瑠衣斗の声にハッとして、瞬きをした。
振り返った先には、私の背後から声を掛けた慶兄と、瑠衣斗が並んで立っている。
まるでモデルのような二人に、思わず言葉を失って見とれてしまった。
こうして並ぶと、本当に迫力がある。
オーラがあると言うか、二人の周りだけが違う空気が漂っているようだ。
髪を後ろに流したようにしてきちんと整えた瑠衣斗は、まさしく紳士のようだ。そして不思議そうに私を見ている。
対して慶兄は、髪を少し遊ばせたように整えてあり、いつもと違う雰囲気で何だか色っぽい。
そして、優しく私を見つめていた。
……あっ。見とれてる場合じゃなかった!!
「あ、えと、ドレス?大丈夫だった」
「そうか。手伝ったかいがあった」
腕を組んで私に笑いかける慶兄に、軽く笑って頷いた。
「なあ、もも太郎」
「なに。類人猿」
「レベル低いなぁお前ら!!だははは!!」
…ちっ。確かに龍雅の言う通りかも。
その時、スピーカーの入る音がして、一瞬にして胸がドキドキと高鳴り始めた。