いちえ



突然突き付けられた質問に、一瞬訳も分からずにフリーズする。


「おいおい、歩けよ」


笑って言う瑠衣斗に、思わず足を止めてしまった事に気づき、慌てて歩き出した。


「ご、ごめん」



思い出したのかよって……。


「何?思い出したの?」


「う…ごめんなさぃ…」



あの約束がどう…って話だよね?


正直、今でもサッパリと思い出せてない。


目を細めて、拗ねるような睨むような目つきで私を見ると、瑠衣斗は前を向き直って溜め息を吐いた。


「まあ…仕方ないのかもなあ……」


「え…?どーゆう事?」



仕方ない?……なら教えてくれたっていいじゃん。


「んなまじで分かんねーって顔すんなよ」


「だってまじで分かんねーですもん」



怪訝な顔で、あからさまに嫌な顔をされ、余計に意味が分からない。



まあ、確かに私の言い方は、るぅを煽るような言い草だけど。



「てめー…チュウすっぞコラ」


「何でチュウなの」


「お前いつまで俺を待たせるんだよ」


「だから何で待たせてるの」


「いつまで我慢させるんだよ」


「何を我慢させてるの」



ちょっとぐらいヒントちょーだいよ!!てゆーか、余計ややこしくしてない?



軽く睨み合った後、瑠衣斗が方向を変えた。


少し細い脇道へと入ると、用水路のような小さな川が流れ、一瞬で目が奪われた。
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