いちえ



眩しい道を並んで歩く帰り道に、暑い日差しが段々と強くなってきた。


「あいつらまだ寝てるかな」


「可能性はあるね…」


瑠衣斗の家に着く頃には、様々な蝉の鳴き声が夏らしさに拍車をかけるようだ。


大きな入道雲を縫うように、眩しい太陽に目をしかめる。


閑散として日常から離れてみたら、こんなにも気分が違う。



玄関を開けた瑠衣斗に続き、家の中へと足を踏み入れる。


家の中に入るだけで、涼しい風にひんやりと日差しにより火照った体が冷やされるようだ。


「そろそろ起こすか」



そう言って二階にある部屋へと足を向けた瑠衣斗は、慣れたように階段を登っていく。


後に続いて部屋まで来ると、まだ静かな部屋の入り口には、ももちゃんが顔を上げ、尻尾を振っていた。


「お、ただいま」


軽く頭を撫でてそう言った瑠衣斗は、大股で室内に踏み入れると、一気にカーテンを開けた。


薄暗かった室内は、一瞬にして眩しくなり、見事な布団の乱れが余計によく分かる。



まだ寝息をたてていた宗太と龍雅は、一気に差し込んだ日差しに思い切り顔をしかめると、掛け布団を頭まで被せてしまう。



「いーかげん起きろ」


「ぅん〜何だよるぅかよぉ〜…」


「俺でわりーか」


龍雅を足蹴する瑠衣斗を見ながら、ももちゃんの隣に腰を下ろした私は、そんな様子に苦笑いが漏れる。


「おい、宗太、起きろ〜」


「…うう〜」



なかなか目を開けない宗太に、瑠衣斗は根気よく体を揺する。


そんな様子が可笑しくて、いつの間にか私は笑いが漏れた。



「…るぅ…お母さんみたい」


「笑ってねーで手伝えよ…」
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