いちえ



「ま、とりあえず動くか」


「そうだな」


立ち上がりながら言う瑠衣斗に対して、続くように宗太も立ち上がった。


「俺女の子見に行きたい〜」


愚図る龍雅を残して、私も2人の後に続いた。



「え!!みんなして無視すんなよー!!!!」




ももちゃんを連れて家を出ると、熱い日差しに目を細める。


焼けるような日差しに、夏の空が眩しい。


すっかりと濡れた地面は乾き、雨が降ったという様子はなくなっている。


目的も何もないまま、瑠衣斗の車に乗り込む。


ちゃんと分かっているのか、ももちゃんは進んで後部座席へと乗り込んだ。


「本当に頭良いよねえ」



助手席へと乗り込んだ私は、後ろを振り返りながら呟いた。


大きさも大きさだし、全体的に黒いので、パッと見は少し構えてしまう。

でも、大きなクリクリの瞳や、白と赤茶のマロ眉毛が、何とも可愛らしい。



「一応、頭は良い犬種だからな〜。龍雅より賢いと思う」


「そうなんだ。何て言う犬種?」



瑠衣斗がエンジンを掛けたと同時に、後ろのドアが勢い良く閉められる。


「バーニーズマウンテンドッグって言う犬種」


「名前も立派なんだね」






「おいそこー!!遠まわしに俺をけなすな!!普通に話進めんなー!!!!」


「龍雅うるさい…ももを見習えよ…」


「えー!!宗太まで!?」



見ると、ももちゃんは龍雅を見上げ、舌を出して尻尾を振っていた。


そんな様子に、私は苦笑いするのだった。
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