いちえ
「ひ、独り占め…?」
そう言ったきり言葉を詰まらせた瑠衣斗が、横目でチラリと私を見ると、すぐにそらしてしまう。
心なしか顔が赤い瑠衣斗に、胸がざわつく。
「そうよぉ。ももちゃんだって、いっつも瑠衣に付きまとわれてたら嫌になっちゃうわよ」
「はっ?付きまとう!?」
由良さんの言葉により、更に口を開けにくくなってしまった私は、やはり苦笑いしたままいきさつを見守る事しかできない。
付きまとわれてる…とは思った事ないんだけどなぁ……。
「なぁに〜?瑠衣ったら付きまとってるの?」
「んな変態みてーな事してねえって」
瑠衣斗が何を言っても、これは太刀打ちできそうになさそうだ。
実際付きまとわれている訳でもないし、何となくいつも一緒に居たから、……って、周りからしたらそう見えてるの?
てゆーか、逆に私が付きまとってるように見られてたりしたり……したのかな。
「おいもも、何とか言えよ」
「…え?あ、……何とか」
思考の渦にどっぷりと浸かってしまっていた私は、瑠衣斗の話なんて全く聞いておらず、考える余地もないままそう答える。
おばさんと由良さんがツボに入ったように笑うが、瑠衣斗は呆れたように私を見つめた。
「お前……覚えとけよ」
「お前言うな。てめー」