いちえ
「意地悪…意地悪なんて言ってないよ…」
直視できないままそう言うと、自分の声がとても小さな事に更に恥ずかしくなる。
何でそんな事言うんだろう。
本当にるぅって分からない。
顔が熱いどころか、体中が熱い。
きっと私の顔は、茹で蛸のように真っ赤に違いない。
「ま、いいや。寝るぞ」
そう言って私の額をペチペチと軽く叩くと、瑠衣斗がスッと立ち上がる。
そのまま出て行ってしまうと思うと、途端に寂しさに思いが沈む。
広い背中に、スラリと伸びた長い足から、目が離せない。
胸がギュッとして、縮むように苦しくなる。
そんな私の思いも余所に、瑠衣斗によって部屋の照明が豆電球程の明るさに落とされてしまう。
同調するように、自分の気持ちまで暗くなるようで、思わず瑠衣斗の背中から目をそらした。
もうちょっと一緒に居たかったなあ〜……。
瑠衣斗が動く気配がするが、いつ声を掛けようかタイミングを見計らっていた私は、そらしたばかりの姿勢を上げた。
それとほぼ同時に、私の枕の隣に、もう一つの枕が置かれる。
タイミングの良さと、意味の分からない今の状況に、私の体は完全にフリーズしてしまったようだ。
「………何で!?」
「何でって…添い寝。あっ、この部屋幽霊出るぞ」
「え!?」