いちえ



振り出していた雨に、私の小さな声は掻き消されそうな程だ。


目を閉じると、胸が不安で一杯になる。


ひとりぼっちになってしまうような、何かを失ってしまうような、大きな不安。


「もも、大丈夫だ。俺が傍にいる」



優しく抱きしめる腕が、私の不安定な気持ちを受け止めてくれる。


何だか無性に、瑠衣斗が居なくなってしまうような、離れて行ってしまうような気持ちが膨れてくる。



「るぅ…居なくなったりしない?」


「…俺が?」


「急にどっかに行ったりしない…?」


「…………」



何も答えない瑠衣斗に不安になり、そっと顔を上げ、瑠衣斗を見つめる。


お互いの息遣いが分かる程の近い距離に、私は何の躊躇もなく瑠衣斗を見上げた。



驚いたような顔の瑠衣斗を、私は不安な気持ちのまま見つめるしかできない。



何で黙っちゃうの?

何で何も言わないの?



数回瞬きをした瑠衣斗は、何だか真剣な顔で、何か言いたげに眉を寄せる。



私、るぅが好き。

大好きなの。


こんな事言ったら、るぅは困るかな?

居なくなっちゃうかな?



ねえ、るぅ…?


私………



「……き…」
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