いちえ



こう言う時、どうしたらいいか今すぐ誰か教えて欲しいんだけど……。


私自身、何と言うか…正直心の準備も何もない訳で。


自分の口が滑ってくれたおかげで、るぅの気持ちも知れたんだけど。。。


だから、本当にどうしたらいいのか分からなさすぎて、もどかしくて、気の利いた言葉すら思い付かない。



グッとお腹に回された腕まで熱くて、そっと触れようとして留まる。


何か言わなきゃ、何だか瑠衣斗を拒否しているような気がして、必死で頭を動かす。



「るぅ…ごめんね。私、私……えと、ちょっとずつ大人になるから!!」


「……は?」



うん、間違えた!!


ちょっとずつ大人になるって、何!?


「違う違う違う違う………」



私、何が言いたい?何をるぅに伝えたい?


何だか男の子の事情で、何かを耐えているみたいな瑠衣斗を、どうすれば楽にしてあげられる?


そう考えた所で、慶兄の言葉がふと蘇る。


素直にならなきゃ。言葉にしなきゃ、思っている事なんて相手には伝わらない。


不思議と、ごちゃごちゃとしていた頭の中が、急にスッキリとして、私は簡単に口を開ける事ができた。



「あの…るぅ?私、今とても幸せなの。るぅが、そんなにも大切に思ってくれてる事が、嬉しい」


男の子の事情って、何だか本当に大変そうだしね。


何も言わない瑠衣斗は、黙って私の言葉に耳を傾けてくれているようなので、私は言葉を続けた。


「だから…だから、無理…とかはしてほしくない…我慢も…」


「え?」



驚いたような瑠衣斗の顔が、想像できる。でも、瑠衣斗はそれ以上何も言わない。


「でもね、でも、その……」



顔が熱い。言葉が詰まるようで、私は息を整えてから口を開いた。




「正直、怖い…の」
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