いちえ
何で…そんなに優しく笑っているの?
私の疑問に、答えはない。
答えてくれる人は、もう居ない。
この年に………居なくなっちゃったんだよね。
帰って来ない人を思う事程、虚しい事なんてないんじゃないか。
バカじゃないの……?
私は、やっぱり変わってないかもしれない。
ちょっとは素直になれたんじゃないかなんて考えていた自分に、笑えてくる。
昔から、やっぱりどこか頭が可笑しいんじゃないの。
今更、何センチメンタルなんかになってんの。
別に悲しむ事もないよ…。どうせ、あの頃から私は居るようで居ないモノだったんだから。
私の事なんて、見てくれてなかったんだから。
――…そうだ、あの笑顔は…首席で高校に入ったからだよ。
ただ、期待に応えた私に、満足しているだけだよ………―――
写真は変わり、高校の頃のみんなとの写真が映し出される。
でも、私はただ無感情に眺めるだけだった。
そこに映し出された私は、何の感情も感じ取れないような、何か冷たく、冷めたようにも感じる自分だった。
こんな風に普段見えてんだ。
何か態度でかくも感じるなあ。
学生服姿の瑠衣斗達は、何だか若々しく見え、いつも一緒だったんだな〜。なんて改めて思う程、高校からの写真は必ずみんなが写っていた。
時々、俊ちゃんと美春のツーショットが入る中、私達の思い出を回想しているような写真ばかりだった。
「…懐かしいなあ……」
「うん……」
ポツリと呟いた瑠衣斗に、それだけ答えて口を閉じた。
全ての写真には、私の隣に必ず瑠衣斗が写っていた。
こんなにもいつも一緒に居たんだね。
当たり前すぎて気が付かなかったよ。
……違うな。
自分の事でいっぱいいっぱいだったんだ。
周りなんて気にする事できなかった。
こんなにずっとそばにいたのに……ね。