いちえ




はぁ、と溜め息を吐き出しながらも、優しく私を抱き止めてくれる瑠衣斗に、言葉が見付からない。


それどころから、頭なんて働かなくて、完璧に腰が抜けてしまったようだった。



「今日からももは、俺のモンだからな」




そんな言葉が嬉しくて、私はぎゅっと瑠衣斗に抱き付く。



ずっと不安で聞きたかった言葉と、ようやく叶った思い。



散々悩んで、瑠衣斗の気持ちが分からなく悩んだ日々が、今こうして結ばれた。



随分遠回りしたけれど、そのどれもが意味のある事で。



どれか1つでも欠けていたら、きっとダメだから。



「何とか言えよ」



「…なんとか…」



ようやく言葉を出せる程度になり、それでも力なく答える。



でもまだ、ドキドキと鼓動する私の胸は、落ち着いてくれない。



「またペナルティ付けるぞ」



ポツリと囁かれた言葉に、ドキリとして慌てて顔を上げる。



これ以上は無理!!ホントに無理だから!!

私の体がもたないよっ!!



「だ、ダメっ。もうダメだから」



そんな言葉にも、余裕の笑みを浮かべる瑠衣斗が、何とも妖艶に見えて堪らない。



「じゃあ…好きって言って」



「へっ…」



「好きって」




本能的に、私に何かが危険を知らせる。


これは素直に言っておかないと、危険だと。



「す、好きっ」



「じゃキスして」



そしてこれは、もっと危険だと。
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